密教の教えに欠かせない曼荼羅は、唐の国(618年~907年の中国の王朝)から空海が持ち帰ったとされています。
宇宙の本質や真理を画像表現によって伝えている曼荼羅は、デザイン的にアレンジされていますが根強く残っていて、美術関連でも登場し、現在はハンドメイドの糸かけ曼荼羅として作家さんの間でもブームになるほどに浸透しています。
密教とはどんな教えの宗教なのか・・・また曼荼羅は何を意味しているのかに興味を持ったので、少し調べてみました。
曼荼羅と密教と大乗仏教と古代インドと空海
「密教」は7世紀から8世紀にインドで隆盛期を迎えた仏教で、古代インドの釈迦であるゴータマ・シッダールタを開祖として、大乗仏教の中の宗派と言われています。
釈迦の教えに従って悟りを開いた大乗仏教は、大勢の人々を救済するという思想で、出家して修行するという、自分個人のみの解脱を求める原始仏教とは異なり、大きな乗り物という意味を表しています。
空海の書いた著書に「秘密曼荼羅十住心論」があり、淳和天皇の勅にこたえて真言密教の体系を述べています。
もう少し分かり易く言うと、声聞への教えや縁覚への教え、菩薩への教えを学んだ上で、密教を学ぶように指導してくれています。
声聞と縁覚と菩薩
空海はこれら3つの事について語っていますが、声聞は声を聞いて得道したので「語密(声密)」であり、縁覚は仏の言教ではなくて、専ら十二因縁を観じて悟道に達したので「心密」とし、そして菩薩は大慈悲から利他の為に娑婆世界に、身を変えて衆生を済度するから「身密」としたのです。
とても奥の深い教えで、その状況に身を置いた人でなければ理解はできないと思います。
密教には声・心・身に密かな教えが存在し、お経を唱えることにより自然に語りかけてくる、そんな解釈にとれました。
そして曼荼羅の中心には「心」が表現されているような気さえしてきます。
胎蔵界と金剛界の曼荼羅
悟りの世界を表す胎蔵界の曼荼羅の中心には、仏様(蓮の花に大日如来や菩薩)が描かれていて、知恵の世界を表す金剛界の曼荼羅の中心には、金剛頂経という経典に書かれた28種類の曼荼羅の中の1つ成身会(じょうしんえ)が描かれています。
金剛はダイヤモンドのことで、大日如来の悟りの固さを表しています。
胎蔵界曼荼羅と比べると模様のように見えて、曼荼羅アート(魔方陣のような絵)に近づいているような感じです。
三密の行
3つの密・・・どこかで聞いたような気がしますよね(笑)
密閉・密集・密接を避けましょう・・・という新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ、キャッチコピーですね。
密教で言う三密とは、即身成仏に至るための修行(三密の行)のことを言います。
身密(しんみつ)は手に印を結び、口密(くみつ)は陀羅尼(だらに)や真言を唱え、意密(いみつ)は瞑想によって精神を統一することです。
それぞれの密教
インドから中国を経て日本に伝わったとされる真言密教や、インドからチベットに伝わったチベット密教など、形を変え伝来しています。
空海の真言密教は、独自の発展を遂げて現在も信仰が続いています。
インドからヒマラヤ山脈を越えてチベットに入ってきたチベット仏教(チベット密教)は現在も存続していますが、中国やインド密教は今はもうありません。
まとめ
日本では空海が広めた密教ですが、曼荼羅の中心には蓮の花の上で座禅を組んでいる仏様(大日如来や菩薩)が描かれていて、大変貴重な存在、シンボルとして代々伝わってきたことを知りました。
ハンドメイドで最近目にする曼荼羅アートですが、その中でも「糸かけ曼荼羅」を制作している人が増えてきていて、作り始めると夢中になるのもなんだか不思議な力に導かれているようで、わかる気がします。
制作途中で悟りを開くことがあるのかはわかりませんが、達成感はありますよね、きっと。
密教での三つの修行の内、瞑想による精神統一(意密)になんだか興味がわきました。
瞑想して落ち着く時間も大切ですね。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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